『天顕祭』そして『WOMBS』 白井弓子 [comic]
辻真先は女性漫画家のSFの分野への草分けとして
竹宮恵子の『地球へ…』と萩尾望都の『百億の昼と千億の夜』を取り上げていたんですよね。
萩尾望都や竹宮恵子たちが『百億の昼と千億の夜』や『地球へ…』などのSF大作を連発してからは、
男女問わずこの分野に鍬を入れるのが常道となった。
だがそこに自分の立ち位置を求めるならその作者ならではの個性をきらめかせてほしい。
そして紹介したのが白井弓子のこの2作。
そりゃぁ読まねばっ!って思いますよ^^
『天顕祭』
同人誌に掲載。
2007年文化庁メディア芸術祭漫画部門奨励賞受賞作品。
汚い戦争後の世界。人間の身体を蝕む毒。ナウシカを思い出す。
でも日本。神社、ヤマタノオロチ、スサノオノミコト。
女性が描いていてもヒロインはかわいらしくはない。
ん?女性だからこそ、かわいらしくない、でも「光る」ヒロインは誰もが描けるものじゃない。
正直、動きのある部分が分かりづらい。
でもエネルギーを感じる。とても強いエネルギー。
読んでいるときにプロ野球のスカウトの言葉が浮かんだ。
「技術ももちろんだけど、その子が持ってるエンジンの大きさを見るんですよ」
白井弓子のエンジンは、きっとでかい。
『WOMBS』(ウームズ)
帯には
妊婦だけの特殊部隊がある。
でも、子宮にあるものは自分の遺伝子を受け継いではいない。
でも胎内にそれを育んでいる者でなければできないテレポート。転送。
この発想がすごい。
そして発想だけじゃなくて若い女性が「妊婦になること」「妊婦であること」の重さが描けてる。
もしかして…これを描ける」ということは白井弓子さん、それほど若くはない?
絵は『天顕祭』よりも動きがずっとわかりやすくすっきりとしている。
ヒロインは『天顕祭』に同じく、かわいらしくはない(笑)けれどやはり「光って」いる。
そのヒロインの今後がとても知りたい。少し怖いけれど…。
コメント 0