高砂コンビニ奮闘記 -悪衣悪食を恥じず- [本]
森雅裕氏は1985年第31回江戸川乱歩賞受賞者。
同時受賞はかのH野K吾氏。
私は世に疎い上に推理小説を読まないけれど、
H野K吾氏はその名前を見ない日はないぐらいのベストセラー作家。
どれだけ映画化ドラマ化されてるだろうね。
だけど一方森氏は…
融通の利かない人なんでしょうね。
許せないことは絶対許せない。
世の中を上手く泳ぐことができない。
だから干されてここ10年本も出せない。
住むところにも食べることにも事欠くほど困窮…。
きっと森氏の名前を聞くだけで顔をしかめる人がその業界にはたくさんいるんだろう。
でもこの本を読む限り、彼の正義感は正当であるし真摯だと思う。
近くにいたら付き合いづらい人なんだろうけれど…。
そんな森氏のコンビニバイトの顛末記。
私は読みながら「こんなまんまで日本は大丈夫なのか?」
ちょっと怖くなった…。
人は誰もが自分より劣る者を見下すことでアイデンティティを確立しようとする。
ただ、昔は人を見下すにしても、心のどこかにやましさがあったものだが、
今は遠慮会釈がない。立場の弱い者など、いくら叩いてもかまわないという時代だ。
…p.270
これは華やいだ時代に近づいてきた人間がことごとく離れ、
かえって仕打ちをしてきたことに対する森氏の言葉なのだけれど
それはそのまま、コンビニ店員に対する横暴な客、会社の態度にも通じているのを感じた。
モンスター化。人を傷つけることで自分を守るモンスター。
人を傷つけることにまったく痛みを感じない
自分を正しいと信じて疑わないモンスター。
なんでだ?なんでこんなに増えてんだ?
日本…どんどん品性を失っている…よね
この本…後々2010年頃の日本を知るのに読むならばこれ!
と言われるんじゃないかとまで思った。
なんか ね…やるせないけどね…
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